『ハンガー・ゲーム2』を見た
・楽天地シネマズ錦糸町にて映画『ハンガー・ゲーム2』を見た。
これは意外な面白さ。前作より全然良かったよ！
全米で歴史的な大ヒットをしたものの日本ではあまりパッとしなかった近未来ディストピアSF映画の第2弾。
第一作である『ハンガー・ゲーム』（2012年公開）は、政府によって選ばれた若者たちが生き残りをかけて殺しあうっていうバトル・ロワイアル的なコンセプトは良かったものの、前半の世界観の説明、後半のジャングルでのだらだらとしたサバイバル描写（と少々地味な殺し合いアクション）だけに2時間半もかけてしまっていた冗長な映画で「これだったらバトル・ロワイアルの方がおもしれえや」と思ったわけですが。
しかして今回、第2弾、序破急のまさに破にあたる部分の内容でそれなりに感情移入できるドラマとカタルシスがあった分、前回よりもスリリングになってましたよ！ すくなくとも『バトル・ロワイヤル2』よりは面白かったぞ深作健太！
まあプロット的には前作とあんま変わりません。
主人公がまた政府主催の殺し合いゲームに選ばれて（今度は歴代王座決定戦みたいなやつ）、また森でサバイバルして頑張るっていうあれなわけですが、今回はまず何より前作の弱点だったキャラクターの弱さが改善されています。
どうやら一人一人が明確な役割をもって行動しているみたいだし、何よりゲームに選ばれた歴代の勝者たちのスポコン漫画みたいなキャラ設定！ キャプテン翼（イナズマイレブンでも可）のライバル校の選手かよ！ みたいなとってつけたようなイージーな特徴のキャラがたくさん！
で、そんな猛者たちがお互いの命をかけて壮絶なバトルを繰り広げる！…かと思ったらそうじゃない！ 全然そうじゃない！
どっちかっていうと主催者側が仕掛けたトラップにひっかかってみんな勝手に死んでいく！ 殺し合いのシーンとかほとんどない！ 主人公たちも苦戦するのはトラップがほとんど！ やっぱりサバイバル描写の方が長い！ やばい！
じゃあそんな理不尽トラップサバイバル描写が退屈だったかって言われるとこれが、そんなに退屈じゃなかったんです。
何よりササキの心をときめかせたのが、主人公の相棒の男の子であるピータくん！
このピータくん、すげえ可哀そうなやつなんですよ！
だって彼、主人公であるカットニス（カットペニスに空目しますよねこの名前）のことが好きなわけなんですけど、当のカットニスちゃんには相思相愛の恋人がちゃんといるの！ でもゲームの設定上ではカットニスとピータは悲劇の恋人同士ってことにされちゃってて愛し合ってるふりをしなくちゃならない！ 片思いなのに！ 完全な片思いなのに恋人のふりをしなくちゃいけない切なさ！ 都合の良い男感！
しかもね、カットニスも嘘の恋人だって割りきって接すればいいものをこの女、都合の良い時だけ「あなたしか信用できない」とか「そばにいて」とか言いやがって好きじゃないくせにピータくんにすがるもんだから所謂“いいやつ”なピータくんはそれに応えちゃう、まんざらでもない感じで彼女のことを支えちゃう！ 自分のことを好きじゃないことがわかってるのに！ 好きだから！ 好きって気持ちだけで命かけちゃう！
案の定、理不尽なトラップが発動するとまず最初に死にそうになるのがピータくん！ でカットニスとしてはピータには死んでほしくない（同情的な意味と他に誰も頼れる人がいない的な意味で）から必死に助ける、そして生き残る、そしてまた新しいトラップで死にそうになる、の繰り返しという情けない役回り！ 俺がピータの立場だったら情けなすぎて自殺してるよそんなの！ その上、愛するカットニスのピンチを救うのがピータ以外の他のプレイヤーなんだぜ！ まじでいいトコ一つもなかったよピータ！ お前何しにゲームに参加したんだよ！ 不憫すぎて泣けてくるよ！
てな感じでこの映画、ササキ的には完全にピータくんの不憫萌えヒロイン感が見どころになってしまいましてその点ですごく楽しめた次第です。
このピータくん、ラストでは本格的にヒロイン的存在に昇格します。
すごく次回作が楽しみ！（三部作らしい）
もういっそのこと実はピータくんがラスボスで、カットニスを手に入れるためにこのゲームを仕組んでたんだ！ みたいなドッチラケ展開になってくれた方が救われるのに！ でもそうは絶対ならない！ だってピータくんだもん！ 絶対最後の方でしょうもない死に方して消えるだけだよピータくん！
いやもちろん他にも見どころが結構ある映画だと思うんで前作を見た方にはおすすめなのですが、あの、あれですね、もう完全にバトル・ロワイアル的な映画ではなくなってますので、それを期待して見てしまうと完全に裏切られます。
そのかわり、SF的なカタルシスは前回より強めになってると思いますので公開が終わる前に映画館で見ていただきたい。すぐ見れなくなりますよ、どうせ今作も日本でヒットなんてしてませんから。宣伝とかあんましてねえみたいだし。
今作でようやく、主人公を演じているジェニファー・ローレンスの人気の理由がわかったような気がします。
彼女あれですよたぶん、あの不健康そうな顔つきと、健康的な豊満ボディのギャップが魅力なんですよ！
不健康顔の女優って一定の需要ありますからね日本でも。
あと他の役者さんでは初登場フィリップ・シーモア・ホフマンの結構な豚っぷり、もといタヌキっぷりが素敵でした。
前作に引き続きレニー・クラヴィッツがオカマのイケメンスタイリスト役をやっているんですけど、彼も理不尽にボコボコにされちゃうシーンがあって可愛そうでしたね。悔しかった。ほら、僕、『自由への疾走』世代なので…
