『麗しのサブリナ』を見た
・ふつうのしあわせ、というバンドのアルバム『ふつうのしあわせ』を聴いた。
面白いバンド。
京都出身スリーピースバンドのデビューアルバム。半年前にリリースされていたものを今月になって全国流通盤として再発売したらしい。
「21世紀の精神異常者」の変拍子部分を延々やってるような場面もあればポストパンクの鋭いギターカッティングもあり、鈍器で頭を殴っているかのようなハードコア面もありでとにかくいろんな要素がぶっこまれてるんだけど、そういった音楽的素養をひけらかすわけでもなくインテリぶらない身軽さ軽快さ貧乏臭さが魅力的。
基本的にインスト曲ばかりな中、数曲あるボーカル曲がどれもキャッチー。モラトリアムの終わりとその続きをセンチメンタルに綴っている歌詞が感動的で、バンド名である「ふつうのしあわせ」がそのまま楽曲のコンセプトになっている。
ライブを見てみたい。
・TOHOシネマズ六本木ヒルズにて映画『麗しのサブリナ』を鑑賞。
小粋すぎる。
オードリー・ヘプバーン、ハンフリー・ボガート主演、ビリー・ワイルダー監督作。
ついにビリー・ワイルダーの映画に劇場で触れてしまった。
徹頭徹尾、登場人物の言動が可愛すぎて頭がクラクラした。
これがワイルダーなのか。
頭からっぽな発情乙女を演じるオードリーもさることながら、何よりハンフリー・ボガートの可愛さよ!
ハードボイルドなイメージばかりつきまとう彼もワイルダーにかかればただの萌えキャラ!
冒頭で気不味そうに家族写真を撮られている表情から、ラストでオードリーと抱擁をする仕草まで、一挙手一投足のすべてがきゃわいい!
ラストカットが本当に素晴らしいのだ。奥から現れるハンフリー→それに気づくオードリー→ハンフリーが持っていた傘を前を通りかかった人のトレンチコートのベルトにさっとかける→手ぶらになり踊るように抱き合う2人→暗転。カメラは固定、セリフなし。こんな小粋な締め方見たことないよ! 久々にパーフェクトなラストシーンの映画を見ましたわ。
・池袋新文芸坐にて映画『タクシードライバー』、『ラスト・ワルツ』の2本立てを鑑賞。
マーティン・スコセッシ監督作品2本立て。
ついにマーティン・スコセッシの映画に劇場で触れてしまった。
『タクシードライバー』は徹頭徹尾、画面から醸し出す不穏な空気感に脳髄がヒリヒリした。
お話はよくわからん、元海兵隊でタクシードライバーになった主人公が美人の姉ちゃんをストーキングしたり未成年の娼婦(ロリすぎるジョディ・フォスター当時13歳!)に説教たれたりしながら「この世の中は腐っている。みんなクズばかりだ」みたいな典型的ぼっち思考で日々を過ごす様が淡々と描写されている感じ。
とにかく、途中までは見ていて気持良くなる描写がどこにもなかったの、現在の自分と主人公の境遇、パーソナリティを重ねてしまって中盤では見ていられなくなっちゃって。
拳銃買って筋トレ始めたあたりから気持ちが楽になったけど、それまでがもうねえホント劇場から出してくれと思うくらい辛かったよ!
クライマックスで一応のカタルシスはあるものの、あれ別に辿り着くべくして辿り着いた結末でもないだろうになんともモヤモヤの晴れない終わり方で、あーん、これがアメリカン・ニューシネマ的なあれなのだろうか、久しぶりにどこを楽しんで良いんだかわからない妙な映画を見てしまったなっつう感じなんだけど、でもこれ一応、一般的評価の高い古典的名作映画なわけで、客観的に評価することができない自分の感性のポピュラリティのなさにまたモヤるみたいなちょっと嫌~な感じになってしまってるんですけどどうしましょうかこれ。
「よくわからんけどすごい映画を見たな」という実感だけはあるので楽しんだと言えば楽しんだような気がするのですが面白かったか? と言われると、いや、面白くはねえよ、画面から醸し出される不穏さが快楽に繋がってなかったもの。
ちょっとスコセッシの別の映画を見てみたいなあ、グッドフェローズとかもこんな感じなのかなあ。
『ラスト・ワルツ』に関しては、俺、元々ザ・バンドが苦手なので特にこれといった感想もなく。
奇をてらわない普通のライブドキュメンタリーだった印象です。